0人が本棚に入れています
本棚に追加
/5ページ
《傷だらけの歯車》
『300秒後、作戦区域に到達します』
真っ暗な世界に機械を通した声が響いた。機械越しにでもわかる女性らしい丸く澄んだ声に反応して、その世界にただひとり、ポツンと存在していた目を瞑った青年が口を開く。
「……了解」
短くそう呟いた彼は、機体に体を取り付けられていた。
別に機嫌が悪いわけではなく、単純に緊張しているのだ。その様子を察知し、いつも通りだと安心したのか、声はそのまま続ける。
『改めて、今回の作戦の内容を確認します。今回の目標はマグノリア陣営に所属する基地の襲撃、基地に存在する物資及び兵器の破壊です。この基地は小型のワイルドアーマーを保有しており、今回の作戦はそのワイルドアーマーが出撃している間を狙い襲撃します。迅速に作戦を遂行し、無事に帰還してください』
「わかってる。リンカー・接続、網膜投影開始」
直後、真っ暗な世界は一気に開けた。
青い空、そして白い雲。その中を彼は飛行していた。
正確には自身の乗っている物と同じくらいの大きさのヘリに吊るされて飛行していた。
最初のコメントを投稿しよう!