第一章 運命と出会う(1)

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「出来もしないことなんだから、最初っから手伝ってもらえばいいのよ」 「まぁ、でもさ。やっぱり、できるようにはなりたいし」 「そういうことは運動をして、力をつけてから言いなさい」  図星をつかれて、なおのこと笑った。  子供の頃は病気がちで、入院歴もある少年だ。まともに動き回れるようになったのは、中学に上がった頃になる。  そのあたりもあってか、どうしても、運動というものができない。基礎体力が足りないと、実感させられることが何度もある。  中学で一緒だった当時から、陸上部に属していた弓美にすら、そちら方面では負けてしまうだろう。  それでも、他のみんなができることには、挑戦したいと思うから、結局はドジを踏むことになるのだけれど。 「ほら、行くわよ。半分持ってあげるから」 「えっ、そんな、いいよ。僕が自分でやるから」  ようやく立ち上がった少年を尻目に、弓美は落ちたハードルを拾う。  散らばったのは、つい先程まで、体育の授業で使われていたものだ。  その時間に、別の種目をしていた弓美が、この体育倉庫周辺にいるということは、彼女は自分の片付けを、当に終わらせてきたということなのだろう。  そんな彼女に手間をかけさせるのは、申し訳ないことだと思い、少年は制止の声をかけるのだが。     
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