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無論、世話焼きの彼女のことを、嫌っているわけではないのだが。
「成田。今朝話した、山火事のことだけど。あれから何か、続報あった?」
「それくらい自分で調べりゃいいでしょ」
席につき、隣に座っていた男子生徒に問う。天満の席は岡の前で、成田の横という配置だ。
話題を振られた成田はというと、口ではぶつくさと言いながらも、携帯端末を取り出して、すらすらと情報を調べ始めた。
運動部に属する岡と、いわゆるパソコンオタクの成田。それに天満という組み合わせは、三者三様と言えるものがあった。
間に挟まれる形の天満は、何か特徴があるというより、薄味だからこその異色ではあったが。
「ちょっと前には鎮火したみたい。ま、夜からずっとなわけだから、それなりにすごい話ではあったけどさ」
「結局原因は?」
「不明」
「んだよ、つまんねぇな」
ニュースサイトを読み上げる成田に、岡が不平を挟み込む。
小難しい話を嫌う彼にとって、気になるのは規模や影響よりも、そういう部分の情報だったらしい。
君に聞かれたわけじゃないぞ、と、成田は目線で訴えたが、結局次の瞬間には、再びスマートフォンをいじり始めていた。
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