序章 獅子のさだめ

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 図体だけを見るのであれば、彼方の怪獣と変わらない。  家を踏み荒らし、街を焦がし、人を殺す怪物の姿と、まるきり同じ体だったろう。  それでも僕は、それの姿に、恐怖を抱くことはなかった。  恐るべき牙。恐るべき瞳。何よりそれらが人間の、何百倍もの巨体に備わり、こちらを見下ろしていながらも。  それでも僕が、それの姿に、見出したものは恐れではなく――奇妙なまでの、安心感だった。  闇の中に後光を浴びて、浮かび上がったその姿は、僕を竦ませるものではなく、むしろ高ぶらせるものであった。 「――ォオオオオオオオ雄吠ッ!!!」  その日、僕は運命と出会った。  一度目の出会いに見出したものが、鮮烈な憧れであったのならば。  きっとこの日の二度目の出会いも、そうした憧れであったのだろう。  違いがあるとするならば、二度目の出会いは、テレビ越しでなく、肌身で感じ取ったものであること。  僕の運命を連れてきたのは、一人の美しい少女と――一頭の、巨大なロボットライオンだった。
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