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トマサ・ソッピースといえば、わずか九歳にしてローマ共和国(旧イタリア)のボローニャ大学を飛び級で卒業し、WEUのリュシー・ジュベローやノースアメリカ(旧カナダとメキシコを併合した北米大陸を統治する国家)のアネット・フォッカーと並ぶAMの開発者となったという、まごうことなき天才少女だ。
そして現在連合軍で制式採用されている『ソッピース』シリーズの生みの親だ。噂には聞いていたが、まさかこれほど小さな女の子だったとは。
「自分で天才技術者とか言っちゃうところが、そっぴーちゃんの残念なところなのよねぇ」
「誰が残念な天才ですか誰が」
「(天才だってところは譲らないんだ……)」
アーサリンがトマサを物珍しそうに見つめていると、軍服の女性が声をかけてきた。
「もしかしてあなた……今日配属される予定のアーサリン・ブラウン曹長かしら?」
上官に誰何されたことに気付いたアーサリンが慌てて姿勢を正し、目の前の女性に向かって敬礼をする。
「は、はいっ! 今日からこの基地に配属になりました。アーサリン・ロイ・ブラウン上級曹長であるますっ!(か、噛んじゃったー!?)」
「ウフフ、そんなに硬くならなくてもいいのよ。私がこのインゴルスハイム基地の司令官、そしてAM部隊の隊長を務めているルネ・フォンクです。よろしくね」
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