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その名を聞いてアーサリンはまたも驚いた。WEUのルネ・フォンクといえば、連合軍の中でもトップのスコア(敵AMの撃破数)を誇り、ゲルマニア軍のトップエースであるリヒトホーフェンと唯一互角に戦えると言われているエース中のエースだ。
しかもリヒトホーフェンのスコアはパイロットの殺害までも含めた公式記録だが、AMを戦闘不能にしただけの非公式記録を含めれば、ルネのスコアはリヒトホーフェンのそれをはるかに上回る。
ノースアメリカ北部(旧カナダ)の出身であるアーサリンも、WEUでは首都パリだけでなく全国の土産物屋でルネのブロマイドが売っているほどの人気があることは知っている。雲の上の英雄を前にして、彼女はさらに体を強張らせた。
「あ、あのっ! これが配属の任命書と、司令部からの指令書です!」
卒業証書の受け渡しのようにぎこちない動作で書類のファイルを手渡すと、それを受け取ったルネはふむふむと頷きながら任命書に目を通しはじめた。
その優美な姿に、アーサリンは思わず頬を染めて見蕩れてしまった。腰まである長い髪をうなじの部分で束ね、微笑みを浮かべる姿はまるで聖母そのものだ。
だが視線を少し下に落とすと、アーサリンは思わず変な声が出そうになってしまった。なにせルネの胸は今にも軍服のボタンを弾けさせんばかりに豊かで、そこだけ見るともはや母性を超越したものを感じさせるサイズなのだ。
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