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1.クリンバッハ城 地下兵器開発室
―― カツ…… カツ…… カツ…… ――
石畳の廊下に、軍靴の音だけが規則的に響いていた。
地下の通路には窓が一つもないため、壁に埋め込まれた燭台に灯された蝋燭の明かりだけが頼りだ。そんな薄暗い廊下を、澱みのない足取りで進む一人の女性がいた。
靴音の主が一歩進むたびに、うなじの部分で束ねられた金色の髪がなびき、バレーボールほどもあろうかという豊満な胸が上下に揺れる。足早に歩いているにもかかわらず、マルグリット・フォン・リヒトホーフェン大尉の身のこなしには一分の隙もなかった。
廊下の突き当たりには頑丈そうな鉄の扉があり、周囲にはいくつものパイプが張り巡らされている。マルグリットが傍らにあるレバーを引くと、管楽器のようなパイプの端から蒸気が噴き出し、重い音を立てて扉が開いた。薪を使って湯を沸かし、その圧力で動かしているのだ。
贅沢な設備だ――とマルグリットは思う。
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