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サクラとLINEを交換して以降、お互いのことを掘り下げる機会が増えた。彼女は特にイギリスでの生活について興味を持ったようだが、今の弱点についても握られてしまった。
「まあ人のこと言えないけどね。英語めっちゃ落ちてるし」
遠くの何かを見つめ、わずかに沈んだ表情を見せた。以前彼女は英語が苦手と言っていたが、それは間違ってはいないらしい。
「丁度京都ってこっちの方角なんだよね」
「ここからはそんなに遠くないよね、新幹線で約四十分」
「地理的にはそうだね、車でも遠くないし。だけど今は地球の裏側のように遠く感じるんだ」
「じゃあ俺が目指す東京は太陽までの距離と同じくらいかな」
俺は決して沈んではいなかった。なんとなく数学の方がまだ挽回できる気がしたので、物理を半ば諦めてプレッシャーを分散させていたからだ。彼女にとって少々余裕を醸し出している俺が癇に障ったのだろうか、目を尖らせて聞いてきた。
「前にも聞いたけど、どうしたら英語の偏差値上がる?もう一年はさすがに無理とか不安はないの?」
「前にも言ったけど英語は単語力に尽きる。日本語に置き換えられれば、あとは君の得意な国語と同じだよ。俺は確かに二教科は絶望的だし、不安はなくはない。でも命取られるわけじゃないし、まあなんとかなんだろみたいな」
最悪どこでも満点を狙える英語力だけでもどっかに引っかかるだろう、そこで抜きん出ればいいんだと無理矢理自分に言い聞かせている。これは結局自分との戦いだ。サクラはまだ俺の方を向こうとせず続きを話そうとする。
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