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「そんなっ……そんなこと……」
私は、涙が止まらなかった。
デスがそんなことを思っているなんて、考えたこともなかった。
こんなに想われていたなんて、思ったこともなかった。
「そうだ、これ……」
デスはそう言って、少し長い糸を取り出した。
そしてその糸を引きちぎり、1本を私の左手の薬指に巻き付けた。
「勝手なことをしているのは分かってます。
でも、させて下さい。
いつか必ず、あなたを迎えに行きます、絶対に」
そう言いながら糸を結んで、デスは私を見た。
「私にも……結んでもらえますか?」
「うんっ……うん……」
私はデスから糸を受け取り、震える手で糸を結んだ。
「ははっ、相変わらず不器用な人だ。
最後の最後までぐちゃぐちゃですね」
デスはそう言って笑っていたけれど、私は止まらない涙に邪魔をされて、喋ることさえ出来なかった。
「泣かないで下さい。
あなたの笑顔が好きなんです。
最後は、笑顔がいい」
目の前で消えかかりながら笑って言うデスに、私は未だに涙が溢れる顔をぐちゃぐちゃの笑顔に変えた。
「うん……笑うよ……」
「必ず、迎えに行きます。
絶対に迎えに行きます、だから……」
デスはそう言ったあと、消えかかっていた体を完全に消した。
「デス……?デス……!?」
「おいっ、危ないっ!」
「え____ 」
((キキーッ、ドンッ!))
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