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『必ず、迎えに行きます。
絶対に迎えに行きます、だから……』
「ん……何……?」
そう寝ぼけながら言って目を開けたが、私の目の前には誰もいなかった。
あぁ,またこの夢だ、そう思いながら私は体を起こした。
「起きたー?
早く支度しないと、遅刻するわよー!
今日、始業式でしょう?」
母の大声が聞こえ、私は時計を見た。
「え、8時……!?
ホントに遅刻じゃん!」
時計が示す時間に焦りを覚えた私は、猛ダッシュで着替えを済まし慌てて階段を降りた。
((ズリッ、ダダン!))
「痛ぁ……。
だから、階段は落ち着いて降りようよ、私……」
「おはよう、また転んだの?
相変わらずドジねー。
早く支度して、学校行きなさいよー?」
「分かってるって!
こういう日に限って、髪の毛の調子悪いしもう!」
少しキレながら髪型を整え、パンをくわえて私は家を出た。
私は高校生で、家の近くの高校に通っている。
まぁ、いつも遅刻しそうになるんだけど。
「今日は、天気が良いなぁ……。
こういう日は、何か良いことが起こり……あ、そういえば今日もあの夢だったな……」
私には、定期的にというか良く見る夢がある。
背の高い男の人が私に向かって何か言うんだけど、起きると内容はほとんど覚えていない。
前に同じ夢を良く見るということをネットで調べたら、それは前世の記憶かもしれないと検索結果が出てきて、それだったらすごいななんて思った。
「前世といえば、この指の傷も関係あるのかな……」
私の左手の薬指には、糸で縛ったかのような傷がある。
母は、この傷は生まれつきあるものだと言っていた。
これもネットで調べたら、生まれつき体についている傷は前世に関係があるという検索結果が出た。
私の前世は何かすごいものだったのかなと調べてみたい思いもあるが、そんなことができるはずもなくただ何かを探しているような日々を送っている。
そんなことを考えていながら歩いていたら、目の前は校門で遅刻することはなさそうで安心した。
「これが分かったら、きっとすごいんだろうな__ 」
((ドテッ))
「うっ、いったぁ……。
本日2回目ですよ、転ぶの……」
思わずそう独り言をこぼした時、目の前が暗くなった。
「大丈夫です、か……。
あのっ、その傷……」
「え?」
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