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上から声が降ってきて何かと思ったら、目の前には一人の男子がいた。
「その、左手の薬指の傷……。
もしかして……」
そう言って、その男子は自分の左手を私に見せた。
その左手の薬指に同じ傷があることを見て顔を上げ、彼と目を合わせた瞬間、私の中で何かがはまった音がした。
「やっと、分かったかもしれない……」
「やっぱり……あなたですか。
おかえりなさい」
ふんわりと微笑む彼を見て、何故か涙が出てきた。
初めて会ったのに、まるでずっと探していたような……そんな感覚だった。
『泣かないで下さい。
私は、あなたの笑顔が好きなんです』
そんな声が、空から聞こえたような気がした。
「うん、ただいま」
涙に濡れた頬を上げて、私は笑顔で言った。
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