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男たちに褒められたアリサは、キーボードの練習にも力が入った。息子の帰宅が練習終了の合図である。息子が父にアリサの腕を本人の前で報告するから、下手なことはできない。アリサはハイハイと右から左に流しながら、その曲が完璧になるまで練習することにした。
昔家で練習して、先生に注意されながらも弾いたことを思い出したアリサは、当時のやり方を振り返った。「昔の癖が治ってないのかな?」と考えて、ハノンをすることにした。これも同じことの繰り返しで退屈だ。息子にも、「僕と同じことしてる」と言われる。父は「なんでも基礎練習がある。ピアノだろうとギターだろうとみんなは、それを乗り越えていく。お前も練習すれば上手くなっていくんだよ」と答えた。「うん」と答える息子は、床に入って明日の朝を迎えるのだ。
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