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アリサはそれをビデオに録画しておいたら、子供たちの出し物を最後まで鑑賞した。息子が体育館に入ると、アリサは息子と一緒に会場で販売されている物を買って一緒に食べた。「お母さん、どうだった?」と息子が感想を聞くので「良かったね。お母さんは外国のお城へ行ってる気がしたわ。そうお客様に思わせるまでよく練習したわね」と答えた。わずかなフリータイムは過ぎていき、息子は教室へ戻った。アリサも学校を出てスーパーで買い物してから帰宅した。
夜になり、夫が帰宅するとみんなで晩ごはんを食べ始めた。食事が終わり、皿洗い器に後片付けを任せたアリサはビデオを公開した。息子の晴れ舞台を見た夫は、「よくやった! いつかはお前とバンドを組んで演奏しよう」と答えた。
これが、息子の初舞台となった。次の日からアリサは息子たちが演奏した曲をキーボードで練習するのであった。すぐには上手くいかないが、だんだんと指の動きが良くなっていく。1週間後には部屋から威厳のある音楽が流れてくるようになった。
「あれ~~ これはとっくに終わったよ~ 今はこれをやってるんだ」と息子から楽譜を渡された。楽器こそ違うものの、譜面を読むうちにイメージが頭の中に湧いてきたアリサは、その曲を弾いてみた。「お母さんはやるね!」と息子が褒めた。「お母さんもいつかは発表してみたいわ」と冗談半分に返したアリサは、母の顔に戻ると男たちに晩ごはんを食べさせてその日を終えるのである。
それから春休みが終わり、新学期が始まった。小学六年生になった息子たちの学年は、責任ある立場に置かれた。集団登校の班長とか他の行事でのリーダー役が来る。
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