40:疑惑

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 さすがに、少しやり過ぎか。  寺田は大きな欠伸をしながら、自分の浅はかさを反省した。  昨晩は、久々に連絡をとった高校時代の友人たちとの合コンに参加した。一次会は、まあ、そこそこには盛り上がったと思う。二次会は女性陣と別れ、男だけで反省会とも品評会ともいえぬ下世話な話で大いに盛り上がった。女性陣が聞いたら激怒まちがいなしの内容だが。そして、そのまま三次会になだれこみ、寺田の記憶もところどころ曖昧になる。  終電はとっくになくなり、友人たちはタクシーに分乗して帰っていった。寺田はそれを見送った後、ホテルに戻り宿泊課の社員用の仮眠室にもぐりこみ朝まで爆睡した。スプリングがいかれた古いベッドはお世辞にも寝心地がいいとは言えず、翌朝は節々をガタピシいわせながら起き、早朝からの勤務に就くことになった。  そんな状況で、なんとか定時まで勤め上げたものの、身体はどろどろに重い。このまま家に帰ってベッドに直行したいところだが、今日もまた合コンに参加するというのだから、自分の事ながら爛れていると思う。とにかく、てっとりばやく彼女を作らねばという焦りから、片っ端から声を掛けた結果のスケジュール過密。本当に浅はか過ぎた。  
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