1111人が本棚に入れています
本棚に追加
/330ページ
「また今度ねー」と、てきとーに雑なメッセージをすばやく送った。こうすれば、さすがに脈なしと気づいてくれる。たまに鈍感なのか図太いのかわからない子もいて、煩わしい思いをすることもあるのだが。そんなおざなりなやりとりにも、疲れと虚しさが蓄積されていく。
エレベーターでロッカー室のある地下へとおりると、深見と鉢合わせになった。ちょうど出勤してきたところらしい。
「あ、慶ちゃん。おはよー」
「よっす」
寺田はひらひらと手を振って応えた。
「今、上がり? 一緒に晩御飯たべようよ」
にこりと微笑み小首をかしげる仕草が、昨日一緒だった女の子たちよりよっぽど可愛く見えてしまって、虚しさに拍車がかかる。
「そうだな、まだ時間に余裕あるし、少し食っとくか」
寺田は虚脱感におそわれながらも腕時計を確認して、今日の待ち合わせまでの残り時間を逆算した。
「何? この後、どっか行くの?」
「合コン」
精一杯の強がりで、どうだうらやましいだろうという顔を作ってみせる。
「え、何それ。ずるい。俺も行きたい」
「何言ってんだ。深見はこの後仕事だろ」
「いいなぁ、俺、合コンとかあんま行ったことないし、楽しそう……」
実際は合コンなんてものたいして楽しくもないし、もう飽き始めているのだが、うらやましがらせてしまった手前、そうもいいづらい。
「じゃ、今度深見が休みの日にでもセッティングしてもらうか? アキテーヌの近藤に頼んでおけばすぐに、人集めてくれると思うし」
最初のコメントを投稿しよう!