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高橋は寺田に詰め寄られ後ずさりながらも、その写真にちらりと目をやった。そして、次の瞬間には、かぁぁぁぁっと顔を赤らめさせた。
そのまま何も言わないで俯いてしまった高橋に、寺田は自分の疑念が間違いではなかったのだという思いを強めた。いきなり核心を突かれたから、焦って何も言えないのだ――。この人であってほしくないという気持ちが打ち砕かれてしまった。落胆と失望で、胸がきりと痛む。
「一体、何がしたいんですか? 俺と深見がそんなに気に障りますか? 顔を見るのもいやだから、このホテルから追い出そうってわけですか?」
こみ上げてくる怒りと悲しさを抑え、寺田は高橋に問いかけた。何故、自分に悪意が向けられるのか、その訳がどうしても知りたい。高橋はうつむけていた顔をはっと上げた。驚愕に目をみひらいている。
「僕は、そんなこと……っ」
「じゃあ、なんなんですか。言ってもらわないとこっちだって訳がわかりません」
「そんな写真知らない!」
「知らないって、これ撮ったの高橋さんなんですよね?」
「違う、知らない! 僕はそんな写真撮ってない!」
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