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オカルトバトル
昔から、やたらと霊が見えるとか何かに憑りつかれてるとか言ってる友達がいる。
本人もここ数年は、自分はどうすることもできない霊媒体質なんだと諦めていたが、
そいつがある時、引っ越しを機にオカルト系の泣き言を一切言わなくなった。
何があったのか聞いてみたら、今住んでいるマンションは事故物件なのだと言う。
前の部屋はそういう話はない部屋だったのに、そこにいても何かと霊が寄ってきた。
そこで暫く暮らしている間に、長く、幽霊にまとわりつかれ続ける暮らしの限界がきてヤケになり、思い切って事故物件に住みたいと不動産屋に申し込んだらしい。
部屋としての条件はいいけれど、いわくつきのせいで格安という物件を紹介してもらい、早速そこに引っ越したら、越してすぐの夜は奇妙な現象に悩まされたけれど、以降はまつたく何も起こらず、平穏無事な暮らしをしているということだ。しかも、借りた部屋の外にいても、今まで悩まされ続けていた心霊現象は一切ないという。
「ヤバすぎる事故物件に引っ越したら、元々俺にまとわりついてた何かと引っ越し先の霊がもめて、結果、俺は普通の体質になったのかもしれない」
にこにこ顔でそう語った友達の発言は、あながち間違いではないのかもしれない。
でも、今は平穏でもこの先はどうなんだろう。
何もしてやれない俺としては、もしもの際、友達に、束の間の平穏のツケが回って来ないように祈るばかりだ。
オカルトバトル…完
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