助けてくれたのは?

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でも……大神くんが正体を見せる前、あれだけ近づかれても手の震えが出なかったのは驚いたな。 「授業を始めるぞ~」 先生が入って来て、みんなが席につく。私は始まった授業に集中することにした。 授業さえ、始まってしまえば話しかけられる事は少なくなるからほっとする。 現国の教科書を広げた時。 「おい、挙動不審女」 右隣にいる男子が話しかけて来た。 また、彼だ……。 明るい茶色髪に釣りあがった目。まだ学校は始まったばかりなのに、制服を派手に着崩している姿は不良にしか見えない。 小川健斗(おがわけんと)くん。 正直言うと、クラスの中でこの人が一番苦手なタイプだ。 それなのに隣の席になってしまうんだから、ついてないなと思う。 「教科書忘れたんだけど見せてくんねぇ?」 私じゃなくて、逆隣の子に借りてくれたらいいのに……。 しかも何でよりによって忘れてくるの……?
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