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そう思った私は自力で立ち上がると彼に背中を向けて逃げ出した。
「はあ、はあ……っ」
息が出来なくなりそうだった。
彼から逃れてやって来たのは、人がほとんどいない体育館裏だ。
「やっと見つけた、里絵!」
肩をポンと叩かれて後ろを振り返れば、そこには探していた友達の姿があった。
「ちーちゃん……」
安心感で思わず涙が出そうになる。
「もう、だから離れないでって言ったのに」
「ごめん……」
私の友達。
ちーちゃんこと、川口千奈(かわぐちちな)ちゃんは、肩まで伸びたキレイな黒髪がよく似合う美人さん。
しっかりと自分の意見を口にする彼女は私にとって憧れの存在だった。
小、中、同じ学校で過ごして高校も同じ。今じゃもう私とちーちゃんは幼馴染みたいな関係だ。
朝も学校まで一緒に来ていたけれど、学校に入ると人が多すぎてはぐれてしまった。
「大丈夫だった?」
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