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…講義が終わったあと、少し時間が余ったので
俺は大学のカフェに行き、スマホでネットサーフィンをする。
お気に入りは都市伝説板のスレッドで、適当なものを漁るのが結構楽しい。
そうしていくつかのスレッドをポチポチと開いて見ていると、
ふと、一つのスレッドに目がいった。
『速報:一反木綿が大量発生?日本上空に布が飛び交う!』
一反木綿…布…?一反木綿は妖怪の名前だった気がするけど…。
俺は、その文字にどこか覚えがありつつもスレッドを開けてみる。
とたんにリアルタイムであろう、大量の書き込みがあふれ出す。
『見た見た…!ウチの町の上空にもいた。一メートルほどの変な透き通った布。』
『俺の家の屋上にも、アンテナに引っかかっててマジワロス。』
『うちだけこない…。』
『ひろって見たけどホントに布かどうかもわかんない。専門家呼ぶべき。』
大量の書き込み、大量の目撃情報。
何枚か現地で撮ったであろう写真も投稿されている。
見ればそこにあるのは先ほど子供たちが構っていた布で、
それを見て少し驚く。
…俺の町だけじゃ、なかったんだな…。
そんなことを思いつつスレッドを見ていると、
ふとこんな書き込みを見つける。
『…これ「メンナシ」に聞く事案じゃね?』
それは、タイムラインに一瞬だけあらわれて一瞬にして消えた。
しかし、その文章だけが異様に俺の印象に残った。
俺はスレッドを閉じるとネットの接続を切り、スマホをポケットにしまう。
…『メンナシ』ね…。
それは別のスレッドでもてはやされた都市伝説。
心霊関係専門の探偵。
決して、人前に顔を出さない顔無き探偵。
でも俺は知っている。
その人が現実にいることに。
その人と話ができる事に。
…また、お願いしてみようかな。
俺は自分のスマホの電話帳を見る。
普段なら、探してもそこに『メンナシ』の番号は出ない。
…しかし、このときは違った。
…数桁の番号。
『メンナシ』と登録された番号。
俺はそれを見つけると、
番号をタッチし相手が電話に出るのを待った…。
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