第11章「薄衣」

7/9
前へ
/169ページ
次へ
『速報:空飛ぶ布は合成繊維か?研究班のあいだで意見分かれる。』 『…マジ不思議、布重なった。』 『こっち50枚突破。』 『なんで重なるの?』 『噂じゃあ、もう潰れた繊維会社の工場から飛んでるらしいよ。』 『新素材のひとり歩き。』 …みんな、手前勝手なこと言ってるな…。 そんなことを考えつつ、俺は学食でスマホをいじる。 ネットの都市伝説板は、もはや半分ほど謎の布のニュースになっており、 一部の科学板でもこの布のことを取り上げ始めた。 そうして学食でラーメンをすすっていると、 後ろの方で他の生徒の声が聞こえた。 「…平賀、もう88枚超えてたじゃん?あれからどうなった?」 「ああ、あれ?もう飽きてやってないよ。」 「えー、飽きるの早いぞ。」 そんな会話を小耳に挟み、ネットを見てみると 確かに百枚以上を超えて集めた人間はいないようにみえた。 …単なるブームだったのかな? そんなことを思いつつ、俺はスープを飲み干した。
/169ページ

最初のコメントを投稿しよう!

30人が本棚に入れています
本棚に追加