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…私は、逃げている。
狭い土管の中。
腰を屈め、這いつくばりながら逃げている。
…ここがどこかはわからない。
しかし、ここを抜ければ生け垣のある場所へと出れる。
そこへ行けば、この状況から逃げることができることを私は知っていた。
…しかし、追って来る。
後ろからくるそれはいつまで経っても追いかけて来る。
ズズッ…ズズッ…ズズッ…
耳に響く相手の音。
這いつくばりながらも、こちらを追う音。
私は後ろを振り返れない。
ともかく外に出なければならない…
そして気づく。
気づいてしまう。
その土管の中に出口が無い事に。
どこまでも続くよう、連結されていることに。
私は絶望する。
逃げられない事に絶望する。
そのとき、背後に迫って来た何かが、
今まさに私の背中に手を置こうとしていた…。
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