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あおいもきっと俺をいつまでも覚えていてくれるだろうと思えた、だからこの『あおい』もそうなんだ。
「──君を、ご主人様のところに連れて行ってあげるよ。」
「……え?」
「人は死ぬと墓に入る、知ってるだろ? 一緒のお墓に、って訳にはいかないだろうけど、ご主人様の近くには君を埋葬してあげるよ。」
「そんな事……できるんですか?」
「ブラックボックスだけなら。」
言うと彼女はとても嬉しそうに微笑んだ。サイバーロボッツ社は捜査終了後、全てを適切に処理することを条件に、『あおい』を放棄したんだ。
「代わりと言ってはなんだけど、その体を俺にくれないか?」
「……体を?」
俺は頷いてから、持ってきたキャリーバックを開けた。
中には黒焦げになったあおいが入っている。
「──これは?」
「俺のところにいたあおいだ。」
俺は掻い摘んであおいをサイバーロボッツ社から連れ出した事を話した。
「……それって、駆け落ち、ですね。」
彼女は理解と同情を示して、なんとも嬉しそうな顔で俺を見ていた。
よかった、これで頭が固かったら、今すぐサイバーロボッツ社に連絡します、とでも言いかねないだろう。
横たわっていたベッドから降りて、黒焦げになったあおいに触れた、黒焦げでもその細かなメカニックとチタン製の骨格は判るのだろう。
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