22人が本棚に入れています
本棚に追加
「ただ、そちらの方面に強い会社と一部顧客情報を共有しています。サイバーロボッツ社に搭載するかは判りませんが、お客様のご要望があれば、そちらを紹介するシステムです」
「……へえ……」
もう、それだけで証拠になる得るんじゃないのか? そこに横浜の商社マンの名前があれば……。
「その顧客情報なんて、あおいはアクセスできない、よなあ?」
「はい、機密事項です」
だよね。客にも口止めはしてるだろうが、そのリストを片っ端から当たれば、一人くらいセクサロイドにしたくて取引したと言いかねない。
「あの」
あおいは申し訳なさそうに下目遣いで俺を見た。
正直、可愛い──潤んだ瞳は、きちんと感情を示している、今は困っていると言っていた、この子は本当にアンドロイドなのか?
「私も、お仕事がありますので……」
「あ、手伝う」
俺はカートを手に取った。
「え、でも、谷屋さんもお仕事が……」
「ん、あと五分くらいは大丈夫。もっとあおいと話したい」
俺が言うと、あおいは本当に嬉しそうに微笑んだ。
「ありがとうございます」
そう言って歩き出した、エレベータに乗り2つフロアを下がり、着いた先は品質保証部の書類管理の部屋だった。
「少しお待ちください」
部外者は入れてはならないんだろう、俺はほんの数十秒、待たされた。あおいがそのドアを開けて出てくる。
「失礼いたしました」
最初のコメントを投稿しよう!