【糸口】

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「ただ、そちらの方面に強い会社と一部顧客情報を共有しています。サイバーロボッツ社に搭載するかは判りませんが、お客様のご要望があれば、そちらを紹介するシステムです」 「……へえ……」 もう、それだけで証拠になる得るんじゃないのか? そこに横浜の商社マンの名前があれば……。 「その顧客情報なんて、あおいはアクセスできない、よなあ?」 「はい、機密事項です」 だよね。客にも口止めはしてるだろうが、そのリストを片っ端から当たれば、一人くらいセクサロイドにしたくて取引したと言いかねない。 「あの」 あおいは申し訳なさそうに下目遣いで俺を見た。 正直、可愛い──潤んだ瞳は、きちんと感情を示している、今は困っていると言っていた、この子は本当にアンドロイドなのか? 「私も、お仕事がありますので……」 「あ、手伝う」 俺はカートを手に取った。 「え、でも、谷屋さんもお仕事が……」 「ん、あと五分くらいは大丈夫。もっとあおいと話したい」 俺が言うと、あおいは本当に嬉しそうに微笑んだ。 「ありがとうございます」 そう言って歩き出した、エレベータに乗り2つフロアを下がり、着いた先は品質保証部の書類管理の部屋だった。 「少しお待ちください」 部外者は入れてはならないんだろう、俺はほんの数十秒、待たされた。あおいがそのドアを開けて出てくる。 「失礼いたしました」     
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