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丁寧に頭を下げてドアを閉める、俺が持ち手を掴んでいるカートから次の書類を取り出し歩き出したあおいの後を、俺はカートを押してついて行く。
「なあ、サイバーロボッツ社のアンドロイドって、みんな君みたく、人間そっくりなのか?」
俺が聞くと、あおいは足を止めて、驚いたように目を見開いて俺を見た。そんな表情すら人間みたいだ。
「──本当に?」
あおいは呟いた。
「本当に……私、人にそっくりですか……?」
それは、確認だった。
「え? ああ……とても人間くさくて、アンドロイドとは思えない……」
言うと、それは嬉しそうに彼女は微笑んだ。
とびきり美味しいケーキを食べたかのような。
難関大学に受かったかのような。
陣痛に苦しんで、やっと我が子に対面した時のような。
とても嬉しそうな、晴れやかな笑みだった。
「ありがとうございます」
あおいは言った。
「え?」
意外な礼に俺は聞き返してしまった。
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