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「アンドロイドは起動した時、初めて目に入った人物を主人として認識するシステムになってます、そのお宅ではその子が一番最初に『あおい』に会ったんでしょう。未成年者が利用者の場合は、成人の後見人が必要です、その時はお父様がそれになりました。そのお宅は、前年にお母様を亡くされていたようです、それで6歳の娘さんが『あおい』をお母様と思って傍に置きたいと思ってくださったようです」
なるほど、そんな活用もあるのか。
「名前をお母様にしようかと言う案もあったようですが、意見を求められて『あおい』が『あおい』のままでいいと言ったようです、それだけ名前には愛着があるんです」
「アンドロイドと言えども、か」
「はい」
設定されてしまえば、変わらないんじゃないのか? そんなところも人間臭いものだな。
「その『あおい』は、ごく最近までそのお宅でお世話してました」
言うと、急にあおいは俯いた。
「幸せだったのに……そうやって心が変化していくのが人間なんでしょうか? 『あおい』はずっと娘さんを主人であり娘のように思っていたのに、ある日から娘さんに避けられるようになったようです。お父様いわく、自分が成長しても『あおい』が変化しないのが気持ちが悪いと……」
「……そりゃ……アンドロイドは、年を取らないからな……」
無茶な話だ。
「一度本社に戻してくだされば、見た目は変えられますよ、皴を入れたり、髪を白くしたり。」
なるほどな、そんなサービスもしてるのか。そうすれば長く傍に寄り添えるな。
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