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「──欲しい!」
「……え?」
思い切り怪訝そうな顔をされてしまった。
「あ、いや、ごめん……その、どうしてそこまで人に近づけるのか、逆に何故そこまで人に近づかない個体があるのか、それを知りたいかなあ、なんて……」
うう、苦しい言い訳だ、でもあおいはきょとんとした後、微笑んだ。
「谷屋さんも、開発に携わっているんですもんね。やはりアンドロイドはより人に近づいたらいいと思いますか?」
「うーん」
限度は、あるなあ……?
「でも……君を見てると、何処が人とアンドロイドに差がなんだろうとは、思うかな……?」
言うと、おあいはぱあっと明るい笑顔を見せた。
「返却された個体とは言え、極秘データです、他所へは決して出さないでください。それを約束してくださるなら」
「うん……」
俺は曖昧に返事をするしかなかった、だって野村さんに渡す前提だ。
「データ量は膨大ですけど」
「あ、これ。これに入るかな?」
USBメモリをポケットから差し出した、勿論こんなもの持ち込み禁止だ、でもボディチェックがあるわけではない、俺はいつでも仕事ができるように隠し持っていた。
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