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「ブラックボックスを直接解析するのが一番手っ取り早いと思うんですが」
『容疑者のデータ解析は、既にサイバーロボッツ社に打診済だ。でも個人情報を盾に開示を拒まれてる』
それは俺が聞いた情報と同様か。
「俺の仮説で、最近返却された『あおい』と容疑者の『あおい』が同一人物であった場合、リカバリーがうまく行かなくてこじらせた可能性があるって方向で解決の糸口があると思うんです」
『なるほどな……って、あおい、あおいって、ややこしいな』
「俺も思います、このデータをくれたのもあおいで……」
俺はUSBメモリを見ながら言った。
『なんでも、外国人には母音が繋がる発音はしにくいそうだ。だからこそ日本人らしくていいって事らしい』
野村さんが教えてくれた。
「そうだったんですか」
確かに、今度ワルアラニアに発送されるアンドロイドも日本人的な姿をしている、だからより日本らしい名前なのかもな、ハナコ、とかでもいいんだろうけど。
『じゃあ、メモリを受け取りに行こうか』
「判りました、待ってます」
藤沢駅で待ち合わせをした、他の人には任せられないのだろう、野村さん自身が取りに来た。
久々の再会だったが、懐かしむ時間はなく、互いに言葉を交わすつもりもない。
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