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「……俺、実は警察に頼まれて横浜の事件の証拠を集めをしていたんだ──もう任務は完了した、あおいがやばいなら、今度は俺が助けるよ。」
ボディバックからドライバーを出して、あおいに換気口を外すように頼んだ。あおいは小さく頷いてドライバーを受け取ると、丁寧にネジを外していく。
金網が外れると、あおいはそれを手に持って椅子から降りた。俺も換気口から飛び降りる、勿論椅子がないところにだ。
「あおい……」
まだ金網を持つあおいを抱き締めていた。
少し硬さのある体だった。でも人工の皮膚と筋肉の下にチタン製の骨格があると思えば、温かくも柔らかくも感じる。
「心配かけてごめんなさい」
「馬鹿だな、悪いのは俺だろ、なんであおいが謝る?」
あおいは『心配をかけた』と言う点だけを謝ったのかもしれない、きょとんとした顔でオレを見た。
「このままじゃ、破壊される可能がある、あおいがいなくなるのは嫌なんだ、一緒に逃げよう」
俺は言ったが、あおいは笑顔のまま首を左右に振った。
「私はサイバーロボッツ社の所有物です。ここから離れる事は許されません。」
「何言ってるんだ!」
俺は固い肩を握り締めていた。
「殺されるんだぞ?」
俺が真剣に言うと、あおいは笑った。
「私は機械です、死にません。きっと他の個体のように、初期化されて生まれ変わります。」
「いいのか?」
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