【激情】

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「谷屋さん、それは無理です。ルールを破ったのは私です。今でも何故あんな事をしたのか、自分でも判りません。でも後悔もしていません、なんだか清々しい気持ちです」 「清々しいって……死ぬんだぞ?」 「存在が消えるだけです、私の代わりはいくらでも居ます」 俺はあおいの肩を掴む手に力が入った、渾身の力が入っていた、でもあおいはあまり痛くはないのか、戸惑った表情だけで俺を見上げ見上げる。 「馬鹿言うな……あおいは、俺が知ってるあおいはお前一人だ……!」 「……谷屋さん……」 「ダメだ、居なくなるなんてダメだ、逃げるぞ!」 あおいは淋しげに首を左右に振った。 「どうせどこに逃げても見つかります、私にはGPSが付いています」 「GPS!?」 「アンドロイドには全てついていますが、特に私達、社内勤務のアンドロイドはサイバーロボッツ社の最先端の知識と技術の塊です。万が一盗難等にあった時の為により精度の高い物がついています」 俺は舌打ちした。 「そんなもん外す」 「外すって……」 「どこにあるんだ? 自分で判るのか?」 彼女は少し悩んでから、右の肩に触れた。 「この奥に」 「コントロールパネルからは無理だな」 唯一あおいの体を傷つけずに中を見られる場所だが、肩までは遠すぎる。 「直で開く。」 「……谷屋さん……。」 「服を脱いでそこに座れ。そこは痛覚があるのか? だったら痛覚切れ。」     
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