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あおいは戸惑いつつも椅子に座った、彼女は抵抗すると言う事を知らないんだろう。人間は皆主人だと思っているんだと思えた。
素直にブラウスのボタンに手を掛け脱ぎ始める、その下はレースを多用したキャミソールときちんとブラジャーもしていた、ちゃんとお揃いなのは誰の趣味だ?
俺はカッターナイフを手にした、それを見てもあおいは怯えた顔もしない。
彼女が触れた肩の僧帽筋の上部に当たる部分にナイフの先を当てた、沈み込んでも血も出ない、感触はベイクドチーズケーキのようだと思った。
下着裸のあおいを前にしても、俺は何も感じなかった、GPSを探すのが先決だった。
皮膚の10センチ四方の三辺に切れ目を入れた、めくればすぐに機工を覆う外装が見える。
見て俺は舌打ちする。
外装はネジを外せば取れるが──今、その為の道具を持っていない。
「あおい、明日また来る」
俺はあおいの皮膚を戻しながら言った。
「え、でも、谷屋さん……」
「藤谷だ」
「え?」
「谷屋は偽名だ、俺の名前は藤谷隆信って言うんだよ」
「……藤谷さん」
あおいは嬉しそうに俺の名前を呼んだ、俺も嬉しくて心が熱くなる。
座ったまま俺を見上げるあおいが愛おしく感じられた、その気持ちを表すには──俺はあおいの顎に指をかけ、その唇にキスをしていた。
「──藤谷さん……」
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