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精密機器用のドライバーを使って分解を始める、慌てて分解して元に戻せなくなっても困る、慎重に外した順番に並べた。
「──これか。」
五センチ角程の白い箱があった、取り出すとコードが繋がっている、電源を取るためだろう、引っこ抜いてテーブルに置いた。
よかった、特に警報とかもなさそうだ。
部品を戻して、皮膚も戻した。
「応急処置だ」
とりあえず皮膚はガムテープで止める。
「……藤谷さん……。」
不安そうなあおいの声を、抱き締めて塞いだ。
「行こう。」
迷いは不要だ、俺はすぐさまあおいの手を取って立ち上がった。
椅子を土台に換気口へ戻る、そこから身を乗り出して、俺を見上げるあおいを見た。
手を伸ばして思う。
「……あおいって、何キロ?」
「98キロです。」
「──そうか。」
他の個体よりは軽いようだが、俺の細腕で上がるだろうか? いや、判っていた筈だ、ここはやらねばなるまい。
でも俺がちょっと引き上げ、あおいの手が換気口にかかると、あおいは自分でよじ登って来た──助かった。
男子トイレに戻り、あおいをキャリーバックに詰めた。
「ごめん、少しの我慢な。」
ファスナーを完全に占める直前に言った、あおいは微笑む。
「はい、大丈夫です。」
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