【激情】

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俺はただ抱き締めた、本人が回避できないと言うんだ、そうなんだろう。本当はあるにしても、探る時間もなかった。 「あおい……。」 呼ぶと、腕の中で「はい。」といつも通りの声がした。 「──君のブラックボックスを取り出す。」 「……え?」 「それが君の全てだ、それがあれば別の機械に繋いで君は生きながらえられる、違うか?」 「でも……それは、体内の奥深くに厳重に入っていて……。」 「元は人が作ったもんだろう、外せるさ。どこにあるか判るか?」 彼女は少し戸惑った後、そっと下腹部に触れた。 「──この奥に。」 「コントロールパネルから行けるな。横になって。」 彼女は戸惑いつつも横になった。俺はスカートと下着を一緒にずり下ろした、色気も何もありはしない。 コントロールパネルを覆う皮膚を開き、それを外しにかかる。 「……隆信。」 不安そうなあおいの声がした。 「大丈夫だ、ほんの少し眠ってくれ。次に目覚めた時はどんな姿か判らないけど……。」 とりあえず新しいパソコンでも買おうかと思った。 あるいは別のアンドロイドでも手に入れるか……サイバーロボッツ社のは危険だよな? 他社のアンドロイドには繋げるだろうか? 無数のケーブルを繋げたまま、コントロールパネルをあおいの腹の上に置く、大小様々なネジや部品を外していくと、黒い箱状の物を見つけた。     
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