【激情】

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「──これか。」 まさしくブラックボックスだ。 「いきなり引っこ抜くのは危険だよな。」 俺が呟くと、 「……ブラックボックスの近くに、赤いボタンが。それが主電源の起動スイッチです。」 直径2ミリほどの、尖ったもので押すタイプのボタンだ。 「──あおい、おやすみ。」 「隆信……。」 あおいは微笑んだ。 「──おやすみなさい。」 それを聞いてから、ボタンを針金で押した、途端にコントロールパネルの液晶は消え、あおいの瞳は色を失い──いや、光ってはいるのに、まるで人形のように景色を映すだけになった。不思議だ、ロボットでも瞳に感情は写すのだろう。 ブラックボックスからは三本のケーブルが生えていた、それを引き抜き手の平に乗せる。 本当に手の平にちょうど乗るほどの黒い箱、これが『あおい』そのものなんだ。 あおいが言っていたように、箱の側面に数字が刻まれている、これがシリアルナンバーか。 改めて思う、君は本当に機械だったんだな──。 12時間の刻限になると、あおいの言う通り、両手足の先端から爆発が起き始めた。爆発と言ってもポンポンと小規模なもの、まるで手持ち花火のようだった。こんなものでチタン製の骨格が破壊されると言うのか。     
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