【激情】

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『サイバーロボッツ社は『あおい』の所有権を放棄、データを取り出した後は『あおい』を廃棄することになった。』 俺は胸を撫で下ろした、俺が連れ出したあおいの事ではなかった、でも廃棄、か……。 『裁判なしの廃棄決定に遺族は不満げだったけどな。事件の全容解明、「ロボットは人を殺すのか」の検証に役に立つのなら、決定に従うと言ってくれてな。まあサイバーロボッツ社が破格の示談金を示したもの大きいのかも知れないが……。』 地獄の沙汰も金次第、か。 『君がくれたデータが役に立った。いや当初は隠してたんだよ、こちらとしても『あおい』本人のデータが欲しいし、君はまだ潜入中だから危険に晒す訳にはいかないし……でも押し問答で埒が明かないんで、こちらにこういう個体のデータがある、『あおい』と照合したいと宣言したら、先方も二体の『あおい』が同一人物で初期化不十分なんて噂を流されてくないんだろうな、シリアルナンバーは違うから別人だと言ってな。証拠を出せと言ったらそれはブラックボックスに刻印されているから、遺族が個人情報の流出を許可するなら『あおい』を回収し、データを全て譲渡すると言い出してな。』 「……そう、ですか……。」 わざわざ取り出さなくても判るだろうに、と思ったが、サイバーロボッツ社は廃棄が目的なんだろう。     
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