記憶

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チェリー、覚えてる?アタシのこと。一緒に水をあげた花はなんだっけ? アタシはチェリーのこと、ほんの少しだけ覚えているよ。 たまたまチェリーが来た日、家にいたアタシは、せっせと庭の手入れをする後ろ姿を今はまだなんとか覚えているよ。 ある日チェリーはアタシに言ったよね。 「おとうさんとこにおいで。さっちゃんの部屋もあるよ」 と。 一度だけ連れていかれたその家は、小さな古い二階建て。幼いアタシに与えられた選択権。 でもアタシは選ばなかった。チェリーとの生活を選ばなかった。 チェリーはアタシのこと、少しは知っているみたいだったけど、アタシはチェリーのことよく知らないし、その二階建ての家、直感的に幸せになれる気がしなかったから。 チェリーの庭には、チェリーがいなくても毎年グミはたっぷりなるし、ユスラも静かに実をつける。 チェリーの庭には、毛虫がいて、鳥が来て、ミミズもオケラもトカゲもいた。カエルも。 あ、カエルはアタシが卵をとってきたからだ。それはチェリーは知らないか・・
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