あの日は、雨が降っていた。

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美久の部屋までにキッチンを通る。 その時、突然『おかえり』と声がしてビクッとした。 「お、お母さん…おか…えり」 お母さんには真っ白な物体の存在を知るわけにはいかない。きれい好きで虫嫌いのお母さんにばれたらどうなるか……まあ虫か分からないけど。 とにかく、ここを乗り切らなければ! 「声の調子悪いよ?風邪か何か…」 「大丈夫大丈夫!本当に大丈夫だから」 美久は慌てると言葉が曖昧になる。 今回も、『大丈夫』としか言えなかった。 美久は早歩きで部屋に入り、ドアをすぐに閉める。 服に隠しておいた例の…真っ白い物体を出し、もう一度じいっと眺める。 やはりかわいい。 よし、飼おう!と思ったとき、重大なことに気が付いた。
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