あの日は、雨が降っていた。

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…この真っ白な物体の生態とか全く知らない。 食べるものとか、オスとかメスについてとか。 生活環境は見つけたときの状況でいいが、再現できるのか? あぁあ!どうしよう。 パソコンで調べたらお母さんに引っ掛かるし、近くの図書館の動物の本は少ない。 この子は飼えないのか…、と諦めかけた。 そのとき、真っ白い物体がにゅうっと動き出し、机の上にある箱の前まで行った。 箱の中には、朝食べ残したパンが入っていた。 ああ、しまうの忘れてた!と思うより先に、真っ白な物体がそのパンを食べだした。 小さい口をできる限り大きく開け、一生懸命食べる姿はなんとも愛おしい。 一口かじる度に幸せそうな顔をする。 「パン…美味しいの?」 美久が話しかけても真っ白な物体は食べ続ける。 「この子、パン食べるのか…」 よし、これでこの子を飼える! 生活環境は…虫かごに葉っぱつきの木の枝入れて、湿度高くすればどうにかなるっしょ! 美久は真っ白な物体を飼い始めた。
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