裁判所、動物の群れで大パニックになる

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裁判所、動物の群れで大パニックになる

 翌日の午後二時。  マルチーズ犬のプティは、再び法廷に立たされた。  マリーとサラは、今日も証言者として裁判に出席していた。  裁判が始まるなり、ベッソン裁判長は、 「シャサネン君。私は、昨日、ここにオーノア伯爵を連れて来なさいと言ったはずだが、なぜ伯爵の姿が無いのだね?」  と、厳しい口調でシャサネンに問いただした。  それに対してシャサネンが答える前に、プティを訴えているシャラント伯爵夫人の代訴人であるカタコテル伯爵が、意地悪そうにニヤリと笑い、こう言った。 「きっと、暴行犯の犬に対して不利な発言をオーノア伯爵がすることを恐れて、連れて来なかったのでしょう」 「カタコテル伯爵。今は君に発言の許可はあたえていない。黙っていなさい」  ベッソン裁判長はそう言ったが、敵が弱みを見せた時に一気に攻めるのが信条のカタコテル伯爵は裁判長の言葉を無視して話を続けた。 「聞いてください、裁判長。証言者としてこの法廷にいる、あちらの二人の少女たちはシャサネン君の助手なのです。つまり、シャサネン君は自分の身内である彼女たちを証言者として裁判に出席させて、犬の弁護が有利になるようなウソっぱちな証言をさせたのです!」     
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