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おしとやかそうな見た目のわりにはなかなかタフでお気楽な性格のマリーが、翼を広げた鳥のように両腕を伸ばしながらクルクルと回転し、笑ってそう言った。しかし、その直後、
バシャーーー!
と、空から生ゴミが降ってきて、その真下にいたマリーは生ゴミの山に埋もれてしまったのだ。どうやら、マリーが立っていたすぐそばの建物の二階の窓からだれかがゴミを捨てたらしい。
「姫様! だいじょうぶですか!」
おどろいたサラは、抱いていたニーナを足元に置き、「何が起こったの?」と言いたげにぼうぜんと立ち尽くしているマリーのもとにかけよった。そして、マリーの頭にのっかっていた魚の骨を手で払いのけると、二階の窓をキッとにらんで怒鳴った。
「こらー! 道ばたに家庭のゴミを捨てるとは何事ですかー! おかげで私の主人が汚れてしまったではないですかー!」
しかし、だれも窓から顔を出さず、シ~ンと静まり返っている。知らんふりをするつもりのようだ。
「むきーっ! なんて無礼なのでしょう! ちょっと文句を言って来てやります!」
カンカンに怒ったサラが腕まくりをして、生ゴミを捨てた犯人の家のドアをノックしようとすると、争いごとが嫌いなマリーがそれを止めた。
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