裁判所、動物の群れで大パニックになる

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「な、なんだって! 神聖なる裁判でウソの証言をさせるなんて、絶対に許されないことだ! 弁護士の仕事をなめている!」  単純でだまされやすいコント裁判官が、自分こそ仕事に不熱心なダメ裁判官だということも忘れて、そうさけんだ。 (フフフ……)  カタコテル伯爵は、これでシャサネンのあらゆる弁護が信用されなくなり、マルチーズ犬も暴行犯として処罰されるだろうと考え、ほくそ笑んだ。よっぽど犬が嫌いなのである。  しかし、シャサネンは動揺するどころか、逆に何やら余裕そうな笑みを浮かべていた。 「カタコテル伯爵。よく調べもせずに適当なことを言い、人をおとしいれようとするのはやめていただきたい。彼女たちはたしかに私の助手ですが、昨日ここで証言をしていた時点では出会って二、三時間も経っていない赤の他人でした。マリーさんとサラさんがなりゆきで僕の助手となったのは、昨日の公判が終わった後のことです」 「適当なことを言って私たちをだまそうとしているのは、そっちのほうだろうシャサネン君! 君の言葉を真実だと裏づける証拠がどこにある!」 「ありません。ですが、僕が裁判でウソの証言を彼女たちにさせたという証拠も同じようにありませんよ、カタコテル伯爵」     
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