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「は、はぐらかすな! そこまで言うのならば、ここにオーノア伯爵を連れて来て、証言をさせてみろ!」
「はい、いいでしょう。もうすぐ、到着すると思います」
「な、何だと?」
カタコテル伯爵がシャサネンの言葉におどろいた直後、突然、ドカドカとたくさんの足音が聞こえてきて、ダルタニャン率いる銃士たちが法廷の中に入って来た。
「今は裁判の最中ですぞ! 王様の軍隊が何の用ですか!」
いつも冷静でめったにあわてることがないベッソン裁判長もこれにはさすがにおどろき、声を荒げてそうさけんだ。
ダルタニャンは「ベッソン裁判長。おどろかせてしまい、もうしわけない」とあやまると、縄でグルグル巻きにして連行してきたオーノア伯爵を法壇(裁判官たちが座る席)の前に突き出し、こう言った。
「ペット連続誘拐犯のオーノア伯爵を重要参考人として連れて来たのだ」
「ペットの連続誘拐……? それはいったいどういうことですか? 近頃、パリ中でペットの謎の失踪が相次いでいるとは聞いているが……」
ダルタニャンの言っている意味がわからないベッソン裁判長がそう言って困惑すると、クルーゾー裁判官が、
「じ、実は、私のペットたちも、今、行方不明なんです!」
と、泣きそうな顔をしながら言った。
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