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サラの言う通りで、マルチーズ犬はマリーの足に体をこすりつけて、「こんにちは!」とあいさつしているようだ。マリーは昔から動物から好かれやすい女の子なのだ。
しかし、マリーのそばにいた飼い猫のニーナがヤキモチを焼き、マルチーズ犬に「ふしゃー!」と威かくすると、マルチーズ犬も負けじと吠え返し、マリーの足元で猫と犬の大乱闘が始まりそうになった。あわてたサラと少年が二匹を引き離したけれど、少年に抱き上げられたニーナが、
「気安くさわらないでよ!」
とばかりに怒って、少年の顔を前足の爪でシャー! とひっかいた。少年は「ぎゃっ!」と悲鳴を上げて尻もちをつく。とことん、動物に嫌われる体質のようだ。
「ニーナ、乱暴はいけませんよ。ワンちゃんも大人しくしてね?」
マリーは、右手でニーナの頭を、左手でマルチーズ犬の頭を優しくなでて、そう言った。すると、二匹はさっきまで興奮していたのがウソのように大人しくなり、「にゃお~ん」「く~ん」と、甘えた声を出したのである。少年は、それを見ておどろいた。
「すごいなぁ。動物にあんなにもなつかれて、本当にうらやましい。まるで魔法のようだ」
少年が感心しながらそうつぶやいていると、マルチーズ犬のせいで転んでしまった貴婦人がまたさわぎだし、マリーたちに怒鳴った。
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