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残念(?)王子と毒舌姫の日常
「千花、今年もチョコレート作るの?」
騒がしい居酒屋で、友人の一人が大きな声で千花に声をかけてくる。大学時代の友人達との久しぶりの飲み会で、そう毎年恒例の質問をされ、千花は毎年同じ返事を返す。
「うん。もちろん。直哉君、楽しみにしてるし」
「ほんと、よくやるわ。え、待って。今年で何年目?」
「えっと、確か……」
千花が大学一年の時のバレンタインデーに当時三年生だったサークル仲間の直哉に告白をされた。それがきっかけで二人は付き合う事になったが、何回目か?と聞かれると片手では足りない事に千花は気がつく。
「いち、に、さん……えっと、六年目」
「六年目!?」
え、うそー!と周りの子達がその声に反応するかのようにザワザワと騒ぎ立てる。肝心の千花自身は、そんなに経つんだぁとウーロン茶を啜りながら何処か他人事だった。
「テニスサークルの王子だった直哉先輩が千花に告白した時の阿鼻叫喚と言ったら無かったよねぇ」
「そうそう!女子はもちろん、男子も!」
「千花、見た目だけならお姫様だもんねぇ」
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