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春、それは進展と別れの時。
三年生は卒業し、新しい一年生がやってくる時期。
イノコ「…はぁ……」
そんな晴れ晴れしい入学式が待つ通学路を溜め息をついて歩く女子がいた。
ちなみに彼女は新入生ではない。
今年で高校2年生になる。
彼女の名前は能力井野子
唯一の悩みを除けば黒髪が似合う普通の女子高生である。
ユウ「…井ー野子ちゃ~ん。」
イノコ「!?」
野球部の朝練の声が響くグラウンドを横に歩いていれば後ろから呼びかけられた声に井野子は振り返る。
それに合わせて自分の背中へとくる多数の視線を感じる。
彼女の視線の先には満面の笑顔で手を振って駆けてくる茶髪の男子高校生。
イノコ「ゆ、優雅君…」
カキーン!
「そっち行ったぞー!」
金属音が響き、声がしてから少しして井野子ははっと顔を青ざめる。
駆けてくる彼の方へとボールが落ちようとしていたからだ。
このままでは彼にボールが当たって怪我をしてしまう。
イノコ「優君!危ない!」
瞼をぎゅっと閉じて井野子が叫んだ直後
…ピタッ…ギュンガンッ!
「へぶっ!?」
「梨田ー!?」
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