Ⅶ 再び

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朝起きてぼんやりした気持ちで時計を見つめる 8時か 急がないと キックオフミーティングは昼からだが 準備のために9時には入らなければいけない もぞもぞとベッドから這い上がり、 リビングへ向かう 「あれ、絵美と亜美は?」 お袋に尋ねる 「二人とも部活よ」 中学に上がった二人は部活三昧で なかなか顔を合わせない 取り敢えず、絵美は彼氏と別れたようでホッとする 亜美は相変わらずホワホワしていて 性格だけであれば亜美の方が 由美に似ている気がする 会えるだろうか 顔を洗い、髭をそりながら自分の顔を見つめる 4年前から、何か変わっただろうか まず40代の大台に乗ってしまった 白髪は増えたが、染めているから大丈夫 ランニングの趣味のおかげか、 ベルトに腹は乗っていない しわは増えたかもしれない 再会した瞬間幻滅、とかだったら 笑えるな 「田中さん・・」 少し 呟いてみる 発声練習みたいなもんだ ダメだ だいぶ浮かれているな 社内の結婚通知は毎月チェックしているし その中に名前はなかった 彼氏がいるか 恋をしているか 俺のことを覚えていないか …会えるだろうか いや、絶対に見つけ出す
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