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「ちょっとリスト見せて」
会議スタートの10分前
受付にあった名簿を若い男の子からかっさらう
「お、大曾根部長 お疲れ様です」
ビクビクしている彼を横目に
おー、と生返事をしてリストを上からなぞる
『神奈川事業所 田中鈴 /○』
もう、来ているのか
どこだ?
ありがとう
とリストを受付に返して
会場を見渡す
500人分のざわめきで
頭がぼーっとする
どこだ?
トイレにでも行っていたらどうする?
待ち伏せするか
いや、気持ち悪いな…
考え込んでいた瞬間
「穏やかじゃありませんね
大曾根営業部長」
俺をイラつかせるために生まれてきたのか
と言いたくなるような声が背後からする
はぁ…
俺は深くため息をついて振り返る
「かまってやってる暇ないんだけど、北」
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