Ⅶ 再び

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「俺にもないさ」 北は、ニヤッと口の端だけで笑う スタッフの女の子の黄色い声が 後ろから聞こえる (噂通りのオーラじゃない?!色気ハンパない…) (土曜出勤、最悪だったけど目の保養できたし まだ頑張れる気するわぁ) 騙されてるから、君たち ただの性根腐った、女たらしだから 「じゃ、また」 会議室に戻ろうとした瞬間 「鈴ちゃん探してんだろ?」 北が叫ぶ おまっ… こんな人が大勢いるところで 何言ってんだ 何人かが騒めいた クソっ… 北の腕を引っ張り、 人目につかない場所に放り込む 「何考えてんだ、でかい声で」 「探してんだろ?さっき話したよ 元気だったし、綺麗になってた」 「はぁ?」 「異動の時、何度か話したことあるんだよ 研修終わりにサシで飲みにも行ったし」 「はぁー?」 「昔はかわいいって感じだったけど この何年かで、グッと大人っぽくなったよ 綺麗になった 何かあったのかなぁー」 うんうん、と北は満足そうに頷く
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