Ⅶ 再び

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500人程度であれば どうにかすれば見つかるだろう と、軽く考えていたのかもしれない 探し出せないというよりは 少しでも時間が空けば 「お、大曾根くん」 「大曾根さん、ご無沙汰しております!」 「久々の東京はどうかね?」 と、ひっきりなしに人が寄ってくる 甘かった 挨拶に回っているうちに、時間は過ぎて 懇親パーティーに突入した グループ会社の社長だろうか えらくどっしりした人が 壇上に上がり、乾杯の音頭をとる 「今後の○○グループの発展を 祈念しまして・・・乾杯!!!」 少し間があり、その後、怒涛の拍手が鳴り響く 拍手がまばらになった瞬間を見計らって 会場を飛び出した どこだ、どこにいるんだ? 20人ほどの飲み会もめんどくさがる田中さんだ こんな500人も集う立食パーティーなんて すぐにでも外に出たいはず だが、思いつく場所をいくら覗いても 彼女はいなかった
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