Ⅶ 再び

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俺の想いとは裏腹に ドアを開けて聞こえてきた 専務の声は最悪だった 「いやぁ田中さんみたいな人が 秘書課に来てくれたらなぁ…」 おい… 「このホテル、今晩部屋を取っているから 遊びに来るかい? 海の景色もいいけれど ここの部屋からは夜景がすごく綺麗なんだよ」 おいおい… 田中さんは苦笑いを浮かべている 専務の手は田中さんの腰を さすさすしている …どいつもこいつも 俺は、田中さんの腰を這う 専務の手を全身全霊でねじり上げた 「あとで…「専務、セクハラです」」 「お、大曾根くん、いつのまに… いやぁははは、秘書課に来てくれないか ってスカウトしてたんだよ …あー、ほら、宮本くんが最近辞めちゃったし、 うん、そういうことなんだ 田中さん、考えといてね」 専務はスタコラサッサという効果音のように その場から立ち去った 「大丈夫?」 少なくとも俺にとっては 感動の再会だったはずなのに クソ専務 「はい、ありがとうございます ご無沙汰、しております」 田中さんは、俯いたまま 会釈をした
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